日記・予定表
基本情報
塾の情報
予測の精度
前項で合格最低点を予測するのは難しいと書きましたが、当塾での予測の精度を載せておきます。
未来を100%の精度で予測することは不可能です。
大切なのはどれくらいの確率で起こるのかを知っておくことです。
表の説明をする前に、大学入試において何を予測するのかを確認しておきます。
当塾では様々な要因を加味して「合格最低点と合格平均点の間の数値」を予測して、それを基に進路指導を行います。
大学入試では合格最低点を上回れば合格となりますが、合格最低点の予測だと少しでも数値がブレたら不合格になってしまうので、少し余裕を持たせた数値を予測します。
以下が2019年の入試で予測した数値が実際にどれくらい当たっていたのか、また、外れた時はどれくらいズレていたのかを表にしたものです。
順を追って説明していきます。
画像左上部の表は、予測した数値の件数と割合です。意味はそれぞれ以下のようになります。
min~ave:予測した値が合格者最低点から合格者平均点に収まっていたものです。
ave以上:予測した値が合格者の平均点以上だったものです。これほど点数を取らなくても合格できていたということになります。
min以下:予測した値が合格者の最低点以下だったものです。予測した点数を取っても不合格になったということになります。
画像下部の表は外れた時に合格者平均点と合格者最低点からどれだけズレていたかを表しています。
念のため書いておきますが、このデータは生徒が受験していない大学も含めています。前期試験の合計46件というのは人数では無く、予測した数です。
まず前期試験ですがmin~aveの的中率が87%になっています。ave以上が2件(4.3%)ありますが、いずれもズレは合格者平均点から2%以内に収まっていました。それも合わせれば、予測した点数を取れば9割は合格する精度だと言えます。
min以下は4件(8.7%)あり、提示した点数を取っても不合格という状況がこれだけ発生したことになります。このうち3件は合格者最低点からのズレが2%以内ですが、1件は2~5%ズレていました。
次に後期試験ですがmin~aveの的中率が85.7%になっています。これは正直出来すぎだと思います。後期試験は前期試験に比べて数値がブレやすいので、毎年このようにはならないと思います。
min以下は3件(10.7%)で割合的には前期試験とあまり変わりませんが、合格者最低点からのズレが5%以上のものが1件あります。このように後期試験は予測が大きく外れるケースが出てきます。
最後に中期試験ですが、予測件数が7件と少ないのもありますが精度が低いです。試験の制度上仕方のない部分もあるのですが、今後も研究が必要です。
このデータを見て、前期、後期は85%以上当たっているので精度が高いと感じるか、10%程度は予測した点数を取っても合格しないので精度が低いと感じるかは人それぞれだと思います。
しかし、1つ1つで考えると精度が高いと感じないかもしれませんが、上記のデータで前期、中期、後期とも予測した点数を取って全て不合格になる確率は
4/46 × 3/28 × 3/7 = 0.4% です。
250回受験して1回起こる確率なので、全て受験する生徒にとっては、ある程度の信頼性があると思います。
進路指導をしていると、前期がA判定なので中期、後期は出願をしませんと言う生徒がいます。上記のデータの精度だと前期試験で、ほぼ大丈夫だろうという点数を取っても不合格になる確率は
4/46 = 8.7% です。
これは11.5回に1回起こる確率なので、くじ引きで1回目に引いてもおかしくないと思いませんか。
このような確率を理解しているので、当塾では出来る限り、前期、中期、後期で受験する大学をしっかりと決めるように進路指導をしています。
以上が、当塾が進路指導を行うときの考え方と精度です。
何かのデータを用いるときには、そのデータの根拠や信頼度、確率も合わせて考えることが大切です。
何度も述べていますが、予備校が出しているA〜E判定を鵜呑みにするのは危険だというのは、何を根拠にして、どのような確率で、何が分かるのかがブラックボックス化しているからです。
A判定だと受かる可能性が高くて、E判定だと受かる可能性が低いというのは、ほとんど何も理解せずにデータを用いていることになります。
数学を勉強して論理的思考を身につけるのは、大学入試で点数を取るためだけに行うのではありません。
物事を理解するというのはどういうことか、どのように行動するべきなのか、人生の指針を作るために勉強をするのです。
当塾では、そのような生きる力を身につけてもらいたいと考えて生徒の指導をしていきます。