日記・予定表


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2018 9月


9月1日 一区切り

9月になりました。

今年度は講座を細分化して指導しているので例年よりも忙しいのですが、少し時間が取れそうになってきたので日記も再開していこうと思います。

日記の更新が出来ない1か月の間に受験業界は色々な動きがありました。

また、生徒を指導していて感じたことや、生徒と話していて思うところがあったので、時機外れになるかもしれませんが、少しずつ書いていきたいと思います。


この日記は、私の備忘録でもあり、このような考えの人が塾を運営しているということを分かってもらいたくて書いています。

学校でも塾でも、生徒の指導というのは閉鎖的な環境で行われることが多いため、どのような指導をしているのか、指導者がどのような考え方を持っているのかというのは、中々分かりません。

もちろん、ここに書いたからといって全てが分かるわけではないのですが、塾を選ぶときに少しでも参考にしていただいたり、こんなことを思いながら塾をやっている人がいるんだなあと思っていただければ幸いです。



以下は、備忘録の部分です。

平成30年9月1日現在の進度状況

1年生   数学T・・・「三角比」の正弦定理・余弦定理まで修了
2年生   数学B・・・「空間ベクトル」修了
      数学U・・・「微分法」の最大値・最小値まで修了
3年生B  「標準問題」・・・150問まで解説済(全て修了)
      「演習問題」・・・32問まで解説済
3年生V  「演習問題」・・・40問まで解説済


9月3日 指定校推薦について

現在、多くの高等学校で指定校推薦の話が出ているようです。塾生の中にも申し込んでいる生徒がいるようなので、このことについて書きたいと思います。


指定校推薦にはメリットとデメリットがあります。

よく語られていることとして

メリットは
・ 受験をすればほぼ合格する試験である
・ 入試が早い段階で終わる

デメリットは
・ 受験期に本気で勉強をする経験が積めない
・ 希望する大学・学部があるとは限らない(国公立大学はない)

メリットでもありデメリットでもあること
・ 自分の学力より、レベルの高い大学に入学することができる

というようなものがあります。


ここからは私の意見ですが、指定校推薦を利用すれば良いと思う生徒は、生活態度がまじめで定期考査では優秀な成績を修めているけれど、一般入試では合格が難しいタイプの生徒です。

高校では勉強の内容、量が非常にハードなので、まじめに努力をしていても、入試をクリアする実力が十分につかない生徒も出てきます。

そういう生徒が、普段の行動を評価されて大学に進学をすることは悪くないように思います。


指定校推薦をあまり勧めない例としては、入試を通じてギリギリの勉強をすることで、学力が伸びる可能性が高いような生徒です。

指定校推薦に合格してから勉強を継続したとしても、一般入試に向かって勉強をする生徒と同じモチベーションでは絶対に勉強が出来ません。

確かに入試は苦しいことも多いですが、それによって得ることも多いので、指導者としては今後の人生のことを考えれば楽な方に流れないでほしいという気持ちがあります


また、まじめに頑張ってきた生徒であっても、指定校推薦を用いて本来の実力とかけ離れている大学への進学はお勧めできません。

指定校推薦は学科試験が無いため、その大学の授業についていけるだけの基礎学力があるのかが分からない状況で進学をしてしまうことになります。

理系学部や、特に医歯薬系は大学入学後の勉強が非常に厳しいので、入学したのはいいけれどついていけずに、留年、退学をしてしまう可能性が少なくありません。


いずれの場合であっても、大学に入ることが目的ではなく、充実した人生を送ることが目的であって、大学に進学するのはその手段のはずです。

目の前のことだけを考えるのではなく、自分の人生にとって何が一番良いのかを考えて行動してもらいたいと思います。


9月4日 指定校推薦は不公平?

昨日に続いて指定校推薦の話になります。

一般入試で大学進学を目指している生徒が、指定校推薦で大学に合格した生徒に対して「自分はこんなに苦労しているのに、楽して大学に合格して不公平だ」というようなことを言うことがあります。

その意見は、現在の自分が置かれた立場と比較して羨ましいという気持ちから出ているだけだと思います。

実際には、昨日書いたようにデメリットもありますし、指定校推薦をもらうためには定期考査や授業態度など日常的な努力をしなくてはなりません。そういった点を評価されて大学に行く方法があるということは、その制度を使って大学に進学すること自体は不公平ではないと思います。


しかし、個人的には指定校推薦は非常に不公平な制度だと思っています。上記と矛盾するようですが、不公平と感じる点が生徒とは異なるということです。


最も不公平だと感じる点が、何を基準に選考を行っているのかが分からないということです。

実際に関わったこともあるので細かいことは書けませんが、指定校推薦の校内選考には明確な基準が設けられていないことが多いです。

出願条件に評定平均がいくら以上ということがあるので評定値は考慮されるのですが、それ以外にも部活動や校内の活動実績などが考慮されます。

例えば、部活動で全国大会に出ていたり生徒会長を務めていた場合などは、同じ評定値であればそちらが選ばれるでしょう。場合によっては、評定値が低くても逆転して選ばれることがあるかもしれません。

しかし、その部活動などの活動実績が点数化されることは無く、ほとんどの場合は教員の主観によって決まります。そのため、教員間のパワーバランスや根回しなどが選考に影響することがあり、生徒の努力ではどうしようもないことがあります。

また、事前に誰が、どの大学を希望するのかを調べることが可能なので、評定値が高い生徒と被っている場合、希望の大学を変えるようにアドバイスをする教員もいます。それも結局は担任の情報収集力や根回しに近いことになるので、そういうことを行ってもらえない生徒にとっては非常に不利になります。


もちろん、全ての学校で上記のようなやり方になっているわけではありません。明確なルールで指定校推薦の選考を運営している学校もあると思います。

しかし、逆に言えば、学校によって取り扱い方が違ったり、同じ学校であっても学年によって取り扱い方が違うということです。

このように、指定校推薦というのは不公平というよりも、始めからそれを目標にするには不安定な進学方法であるということを理解しておくべきです。


結果的にどのような方法を用いるとしても、大学進学のためにやっておいて間違いないことは本物の学力をつけることです。

結局はそこに帰着するのですが、上手くやることだけを考えずに、コツコツと日々の学習に取り組むのが最善だということです。


9月5日 試験での面接

指定校推薦についていろいろと書いてきましたが、指定校推薦は校内選考で選ばれて受験することになれば、非常に合格率の高い試験です。

私が今まで関わった中では、指定校推薦で不合格になった生徒を見たことはありません。

全く面接の練習をせずに、志望理由も答えられないという状況であれば落ちることもあるのかもしれませんが、普通は指定校推薦で受験させる場合は学校も面倒を見てくれます。

ただし、指定校推薦ではない面接の試験では、面接練習をきちんと行ってくれないこともあります。面接くらい何とでもなると思っている先生もいます(生徒自身も何とかなると思っています)が、ほとんどの生徒は練習をしなければまともな受け答えをすることが出来ません。

面接の練習は手間がかかるので、先生も生徒もあまり練習をやりたがらない傾向にあるように思いますが、練習をしないと3割取れないことも普通にあります(得点開示をした生徒の結果から)。


面接は特殊な試験でない限り練習をすれば6割は取れるようになります。逆に言えば、面接で8〜9割以上の点数を取ろうと思ったら、普通の練習をしていては無理です。

面接で高得点を取るためには、この生徒を取りたいと相手に思わせなければならないからです。大学入試は絶対評価ではなく相対評価なので、絶対に入学させたいと思わせることが出来れば、他の生徒の面接の点数を下げてでも合格点に到達するでしょう。

しかし、そのように評価されることは非常に難しく、単に部活をしているとか、得意なことがあって好きでやっているといった程度では、大した評価はされません。全国レベルの何かを持っていたとしても、それを評価されるかは全くの未知数です。

そういう点から考えると、面接の試験は不安定な試験と言えるので、始めからそれを当てにするのは危険ではないでしょうか。

不安定な制度や試験に人生をかけるのではなく、力をつけさえすれば評価をされる一般入試に向けて頑張ることが、ほとんどの生徒にとっては最善の方法であると思います。


9月6日 災害列島

先日は関西に台風が来て大きな被害を出しましたが、その全容が掴めていないような状況で、更に今朝、北海道で大きな地震がありました。

日本はこのように自然災害が非常に多い国です。近代以前も、こうした被害を繰り返し受けてきました。

災害が多いからこそ、自然に畏敬の念を持ち、そこから多くのことを学んできたのだと思います。また、どうしようもないことに見舞われるからこそ、自分だけが良ければいいのではなく、困ったときには助け合うという精神が国民に根付いています。


先ほどニュースを見ると、北海道全域で停電をしていたのが既に10%ほど回復していて、明日の朝までには3分の1程度回復する見通しだそうです。現場で働いている方も被災をしているはずなのに頭の下がる思いです。

関西も北海道も日常を取り戻すのには暫くかかると思いますが、少しでも早い復旧を願っています。


9月8日 センター試験出願の注意点

運動会も終わり、高校3年生は受験が近づくのを感じる時期になります。

受験を感じる出来事の一つとして、国公立大学を志望している生徒は、これからセンター試験の出願を学校で行うことになります。そこで、気を付けてもらいたいのは、受験方式を冷静に判断して決めることです。

センター試験に出願するときに、特に注意をしなければならないのは、社会と理科の受験方式についてです。

社会は「地理歴史」「公民」の合わせて10科目の中から、最大2科目まで受験できるのですが、1科目だけ受験するのか、2科目受験するのかを選択することになります。この段階では、実際にどの科目を受験するのかは選択しません。

2科目受験をする人は、当日に「第1選択科目」と「第2選択科目」を選ぶことになります。
文系の学部であっても大学によっては1科目で受験できることもあり、その時は「第1選択科目」の点数が採用されることが多いです(高得点の方を選択という大学もあります)。

基本的には、理系の生徒は1科目だけ受験、文系の生徒は2科目受験となりますが、理系から文転を考えている生徒は2科目受験にしておかないと受験できなくなる大学があるので注意が必要です。


続いて、理科は
@ 「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」
A 「物理」「化学」「生物」「地学」
と分類されたもののうち

A @から2科目
B Aから1科目
C @から2科目とAから1科目
D Aから2科目
という受験方式の中からいずれかを選択します。

一般的には文系はA、理系はDという選び方をすることが多いと思います。

ただし、看護科では、大学によって「@から2科目」「Aから1科目」のどちらかでしか受験できない場合や「@から2科目、または、Aから1科目のいずれか」を選択できるという場合もあるので、自分の状況に応じて受験の仕方を変える必要があります。

このあたりの細かいことが分かっていない先生がまれにいて、理系はDで受けるものだというように言われることがあるので、自分で判断して受験方式を決めなくてはなりません。

また、社会の受験科目数と同様にABCDのいずれで受験するのかは出願後の変更ができないので、しっかりと考えて決めましょう。

更に、社会と同じく、この段階ではどの科目を受験するということは決めなくて構いません。ほとんどいないとは思いますが、理系から文転する生徒で物理がどうしてもできないので、学校では習っていないけれど、自分で勉強をして「生物基礎」や「地学基礎」で受験をするということが可能です。


上記に書きましたが、この段階での出願で最も影響を受ける生徒は、学校で理系コースに在籍していて、文系学部への進学を考えている生徒です。

残り4か月余りとなり、受験に向けて見通しが経ってきたころだと思います。自分がこれからやるべきことを明確にして、残りの時間を過ごしましょう。


9月9日 まともな答案

数学が苦手で7月に入塾してきた生徒が、新学期が始まったときに学校で受けた課題テストを持ってきました。

答案用紙には学校の先生から「まともな答案がかけている!」とお褒めの言葉が書かれてありました。

得点も以前に比べれば随分と良くなったのですが、それよりも「まともな答案」が書けていることを評価してくれている方が、塾で指導をしている身としては嬉しく思います。

当塾では、テストが返ってきたときに見せるように言っているのですが、その時に見ているのは、このように「まともな答案」になっているのかです。

こうした成果が直ぐに出ることは稀ですが、生徒にとっては励みになって、これまで以上に頑張るきっかけになるかもしれません。


9月11日 四当五落

最近では聞かない受験用語(私が学生の時もほとんど使われてはいません)に、「四当五落」というものがあります。

昔の大学受験は今よりも学生の数が多く、大学の定員が少なかったため、非常に厳しいものでした。それで、東京大学に合格するためには4時間睡眠の人は合格して、5時間睡眠の人は不合格になるという意味で使われていました。

今はそこまで睡眠時間を削って勉強をする必要は無い、というよりも、しっかり寝ないと集中して勉強ができないので睡眠時間をきちんと取りなさいという指導が一般的になっています。

では、どれくらい睡眠時間を取ればいいのかということですが、これは個人によって違います。3〜4時間でも大丈夫という人もいますが、そういう人は本当に稀です。

私が以前関わったまじめな生徒の中には、学校の課題などを全て完璧にやらないといけないと思って、毎日3〜4時間の睡眠で勉強を続けていた生徒がいたのですが、その生徒は健康診断のときにほぼ全ての項目で異常な値が出てしまったということがありました。

重ねて言いますが、適切な睡眠時間は個人によって違うので、自分で最も適切な睡眠時間を探して、それに合わせた生活リズムを作る必要があります。

まずは健康に毎日を過ごせることが大切で、勉強のために体を壊してしまっては、何のために頑張っているのか分からなくなってしまいます。


9月12日 逆転現象

以前はあまり感じなかったのですが、最近、塾と学校で学ぶことの逆転現象が起きている場合があるように思います。

本来、学校では教科書に沿って授業を進めて、傍用の問題集などで基礎的な演習を積みながら、基礎基本を定着させていくという指導をしていくものだと思っています。

一方、塾では、基礎的な内容の指導は行うものの、学校では取り扱わないような少し難しい問題を取り扱うことで、受験とのギャップを埋めていくという指導が求められているように思っています。

しかし、ここ数年、基礎基本の練習は生徒任せにして、定着をしていないまま、難しい問題を解かせるような指導をしている学校が見受けられます。

各学校や担当の先生の考え方があるのでしょうが、新課程に切り替わって数学で学ぶ内容が増えたために、基礎基本の定着に時間を使っていると授業が終わらないということが、このような状況を生んでいるのかもしれません。

もちろん、生徒が一人で基礎的な内容を定着させられれば良いのでしょうが、それは簡単ではありません。そういうわけで、当塾では基礎基本の定着を促すために、授業時間内に復習する時間を取るようにしています。

これは学校を責めているわけではありません。学校も色々と工夫をして生徒にとって一番良い方法を模索しているのだと思います。

現役の高校生は、現在そのような状況にあることを理解するのが大切で、その中で大学受験に必要な学力を身につけるために、どのように行動するのかを選択していかないといけないのだと思います。


9月13日 模試の不正

7月末に、関西大学付属高校の生徒が模試を受ける前にネットで解答を入手して、不正を行ったというニュースがありました。

学校の考査や大学入試ではなく模試で不正を働いて何故問題になったのかというと、学校が模試の成績を関西大学への内部進学の選考に用いていたからです。

また、今回の報道ではあまり騒がれていませんが、予備校によっては模試の成績によって特待生制度があるため、人によっては不正をしてでも高得点を取るということが、金銭的に得をするという状況を生んでしまっています。

もちろん、そんなことをしても学力を伸ばすことに繋がりませんし、不正をしてでも得をしたいという考え方は浅ましいと思います。しかし、それで得をする可能性がある以上、不正を行う生徒は今後も出続けると思われます。

民間の試験や模試というのはこういう危険を孕むため、それを直接的な選考に用いるというのは運営する側の怠慢です。

日本という国は性善説で成り立っている部分が多いように思いますが、受験や社会保障制度など公共性の高いところでは、まじめにやっている人が不利益を被ることが無いように設計していかなければなりません。


9月14日 民営化の危うさ

昨日、民間の模試の結果を校内選考の資料として用いることは危険であると書きました。

しかし、現在の高校1年生が受験をする2年後には、英語の民間試験の結果を大学入試に用いる時代がやってきます。

ハッキリ言いますが、民間の模試を大学入試に用いることは間違っていると断言できます。

現在の模試と比較すれば管理をしっかりをするとは思われますが、それでも現在行われている入試と比べれば、情報漏洩のリスクは高くなるのは間違いありません。

というのは、全国で全く同一の時間に入試をするには、会場や試験監督などの手配など、相応の準備が必要になります。

現在は年に1回の入試ということで、そこに照準を合わせて全ての準備を行うのですが、今後行われる民間試験の場合、年に複数回の実施を計画しています。

それだけ試験回数が増えるということはミスも増えますし、入試業務に関わる人数も増えます。問題に触ることのできる人数が増えるということは、それだけリスクが増えるということを意味します。

また、年に何度も実施する試験で毎回同じレベルの問題の質を保つことが出来るのかという問題もあります。もし、質が均一でないのなら何度でも受けた人が有利になります。

これに関しては、事前にどの試験の結果を入試に用いるか決めなくてはならないというルールにするという案があるそうですが、そうなれば1回の試験の結果で判断するのが厳しいから複数回受けられるようにした意味がないですし、受験学年の出来るだけ後半に受けた試験の結果を用いようとするのは当然です。

そうなったときに、50万人以上いる受験者が同時にスピーキングの試験を受けることが可能だとは思えません。

その他にも問題点を上げ始めればキリがありませんが、全ての原因は入試を民営化しようとしていることです。

民営化をすれば効率が良くなる、値段が安くなってみんなが得するというような意見を言う人がいますが、それは必ずしも正しくはありません。公共性の高いものを民営化することは非常に危険です。

郵政民営化や国鉄民営化を行った結果、利益が増えた地域もありますが、収益性の低い過疎地の郵便局や鉄道は廃止されています。

これを入試に置き換えると、都市部の人口が多いところではこれまで通り入試が実施されて、過疎地では収益性が低いため入試が実施されないということになりかねません。

こうした事情から入試改革には反対の声が多く上がっています。これから事態がどのように推移するのか、多くの人が知ることが大切だと思っています。


9月16日 悲惨な入試改革

入試の話の続きになりますが、現在の高校1年生は、大学入試改革といわれている初年度の入試を受験することになります。

今までの試験との最も大きな違いは英語のスピーキングが入試で行われることです。

とは言っても、現行の試験のように会場に全員を集めて同時に行うことは不可能なので入試業務は民間業者に丸投げされます。

ところが、民間業者も実施は不可能、または混乱が起こることが予測されていているので、実際はどうなるか不明瞭です。

英語の入試について9月に行われるはずだった説明会が急遽延期になるなど、すでに混乱している状況です。

また、東京大学が民間試験の結果を「入試に用いない」→「入試に用いる」→「やっぱり用いない」と、意見が二転三転しています。その他の大学についても、本来であればこの9月に方針を出すはずであったのに、まだ決め切れていない大学や、独自路線の方針を出す大学が出てくるなど、どのようになるのか未だに分かりません。

この改革によって利益を得る関係者は、何が何でも実施をして既成事実化しようとしているようですが、実際に入試を行う現場では計画の見通しが立たないため、どうしていいか分からなくなっているようです。

このような事態で一番迷惑をするのは受験生です。実際に入試に使われるかどうかわからないものを、どのように勉強していいか分からない状況で、とりあえず勉強してくださいと言われているのです。

上手くいかないのが分かっていることを感情だけで強行すると悲惨な結果になることが多いです。多くの人に迷惑をかける前に、中止か延期にしてもらいたいと切に願います。


9月17日 続・悲惨な入試改革

最近、暗い話ばかり書いていますがもう少しだけ。

2年後の入試改革で最も大きな変更点は英語のスピーキング導入だと思いますが、それ以外にも大きな変更点があります。

現在の大学入試では、センター試験ではマークタイプの問題のみを出題して、国公立大学の2次試験や私立大学の個別試験では記述式の問題を出題しているといった状況です。(私立大学でもマークタイプの個別試験のみを実施というところもあります)

これを、国語と数学においてセンター試験(の後継試験)で記述式の問題が出題されるように変更する予定です。

この変更はやめた方が良いと思います。

センター試験は、現在50万人以上が受験しています。記述を採用した場合、少なくとも50万人分の答案を1〜2週間で採点しないといけません。それを当初は大学で採点させると言っていたのですが、大学から猛反発にあい、民間業者に委託するという案に落ち着いています。

民間業者といっても、それだけの数を短期間で採点するとなるとアルバイトを雇わないわけにはいかないでしょう。すると、大学生や専門性に乏しい人が大学入試の採点をすることになるわけです。これで本当に公平に正しく採点が出来るのでしょうか。

実際、昨年から新テストの試行問題が学校で実施されているのですが、採点ミスや個人の判断による差が頻発したため、そのようなことが発生しないような問題作成を心がけるといった反省が述べられています。

複雑な問題にすると採点が出来ないから簡単な問題にするというのであれば、記述式にする意味はないでしょう。そもそも記述でしか計れない力は、各大学が現在も個別試験をしているわけですから、全体に導入する理由が分かりません。



現在の高校1年生は、大学入試がどうなるのか不透明なまま勉強をしていかなければならない学年になっています。

こういうときに大切なのは、情報に踊らされないことです。どのような試験方法であっても実力がある人は対応することが出来るはずです。

勉強で大切なことは、どの科目であっても目先の点数を追うのではなく本質的な理解を追求していくことです。試験方法が変わっても、勉強の仕方を変える必要はありません。


9月18日 自立のための指導

最近、高校1、2年生ともに単元の区切りのところまで授業が終了したので、復習の時間を取って問題を解かせています。

当塾では、時間が取れるときは塾で復習をさせて内容や様子を確認するようにしています。

指導をしていて改めて思うのは、正確に復習をするのは非常に難しいということです。見ていて指導が必要の無い人は全体の10%以下のように思います。

生徒が復習をしていて、こちらが指導するのは以下のような場合です。

・ 答えが合っていても、途中が間違っていることに気が付いておらず、数学的に正しくなくても何となく答えが合うように調整してしまっているとき。

・ 答えが合っているか確認せずに問題を解き進めている、分からない問題や間違った問題に赤で答えだけを書いて進めている、答えが間違っていたときに自分の解答を全て消してしまっている、というように取り組み方が誤っているとき。

・ 公式を覚えていないと解けない問題をしばらく考え込んでいる、解法を理解していないため見当違いなことしているのにノートなどで確認をしない、といった時間を浪費しているとき。


その他にもありますが、勉強をしていても学力がつかなかったり、効率が悪い生徒は、上記のような勉強の仕方をしている傾向があるように思います。

机に長時間座っていれば学力がつくわけではなく、適切な方法で取り組まなければ勉強が出来るようにはなりません。

逆に、勉強のやり方を学んだ生徒は一人で伸びていくことが可能になります。そうしたきっかけを作ってあげることも塾の指導の一部だと思っています。


9月19日 問題を解く時間

昨日の日記の補足を少ししておきます。

生徒の学習の仕方で、以下のときは指導をすると書きました。

・ 公式を覚えていないと解けない問題をしばらく考え込んでいる、解法を理解していないため見当違いなことしているのにノートなどで確認をしない、といった時間を浪費しているとき

ここで気を付けてほしいのは、分からない問題をすぐに諦めてしまうのもダメだということです。

今日、生徒を指導しているときに
「このページの問題は何分以内に解かないといけないですか?」
と質問をされたのですが、答えは
「何分かかってもいいから理解して解く」です。

勉強の初期段階で大切なことは、時間を区切って解くことではなく、理解できているかどうかを意識して取り組むことです。

内容を理解して反復練習を行い、定着してくれば少し時間を気にして解いた方が良いでしょう。

さらに勉強が進んで難しい問題に挑戦するときは、時間が許せば1問に1時間でも2時間でもかけて粘り強く考えるのが理想です。

勉強は取り扱う内容や段階によって取り組み方を変える必要があります。昨日書いたのは、基礎段階で公式も解法も全く覚えていない状態では、時間をいくら使って考えても意味が無いということです。


勉強が出来る人は、どこが分かっていないかが理解できているので、ノートを見た方が良いのが、じっくり考えた方が良いのかという対処の仕方が上手です。

状況に応じて適切な対処が出来ないという人は、全体の理解が不足しているので、まずは指導者が補助をして、理解を助ける必要があると思います。


9月22日 醍醐味

夏前から塾に通っている生徒の中に、最近、数学の力が特に伸びていると感じる人がいます。

生徒は今まで出来なかったことが出来るようになると、考え方も変わってきますし、言葉通り、授業を受ける姿勢や立ち居振る舞いも変わってきます。

人はある日を境に別人のように変わることはほとんどありませんが、毎日、少しずつ変わっていくことは出来ます。

当塾に通うことが全ての人に対して良いとは限りませんが、出来る限り良いきっかけになりたいと思って関わっています。

勉強が苦手だったり、数学が苦手だったりした生徒が、自分なりに努力をして自信をつけていく姿を見ることがこの仕事の醍醐味なので、こうした生徒が現れることは非常に嬉しく思います。


9月23日 枠

生徒と進路の話をしていて、どうしてその大学に行きたいのかと聞くと
「将来〇〇になりたいからです」「〇〇をやりたいからです」
というような返事がよく返ってきます。

どうしてそれになりたいのかと聞くと
「昔から興味がありました」という意見であったり
「収入が安定しているので」というような、将来の生活を見越した答えが返ってきたりします。

これは間違っていないでしょうし、ほとんどの人はこのようなことを考えながら大学に行くのだろうと思います。

ただ、大学で勉強をしたり、社会に出て働いていく中で、努力をする理由に、自分が影響を与える枠を広げていくためだという考えも持ってほしいと思うのです。

人はそれぞれ置かれた状況や能力などが違うので、自分のことで精一杯の人は、まずは自分の生活を豊かにする必要があるでしょう。

自分の生活にゆとりが出てくれば、家族を幸せにするために家庭を大切にするべきでしょう。

それ以上に余裕がある人は、地域の役に立てることを行えれば良いかもしれません。

そして、更に器の大きい人は日本の国益のために大きな仕事を担っていくでしょうし、類稀な才能を有している人は世界に影響を与えられる存在になるのでしょう。


全ての人が偉人になれるわけではありませんが、努力をすることで自分の枠を少しずつ広げていくことは出来ます。

世界中の人に知られていなかったとしても、人はそれぞれ自分の役割を全うすれば幸せを感じられる生き物です。

その中で、個人の枠を広げていくことで、より多くの人が幸せになれるのが人間社会ではないかと思います。

受験勉強をしているときは、人のためよりというよりも、自分のためという気持ちが強いかもしれません。

しかし、そうした環境が与えられていることが、誰かの枠の中に入れてもらっているということで、それをまた別の誰かに還元する気持ちを持ってもらいたいと思います。


9月24日 10月の予定表

10月の予定表をTOPページにアップしました。

10月の初めには各学校、定期考査がありますが、当塾には様々な高校の生徒が通っているため、人によって試験期間がずれています。

こうした期間は、授業をあまり進めずに基礎的な内容の定着を図るようにしています。

試験前に必死で勉強をする人は多いでしょうが、試験が終わった後すぐに復習をする生徒はそれほど多くありません。せっかく定期考査に向けて必死で勉強をしたのですから、是非復習をして知識を定着させてもらいたいと思います。

また、高校3年生は10月から土日に模試を受ける機会がこれまで以上に増えます。人によっては毎週末受けることもあります。模試も定期考査と同様、きちんと復習をすることが大切です。

しかし、一人では取り組めない生徒が多いので10月の授業では模試の復習をする日も入れようと思っています。

たくさん勉強をするのは大切ですが、消化不良を起こしていたり、基礎を疎かにしていては実力は伸びません。今、やるべきことを考えて着実に土台を築いていきましょう。


9月26日 東京大学の発表

東京大学から2021年度入試の英語について発表がありました。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_admission_method_03.html

それほど多い文章量ではないので読んでいただければいいのですが、要約すると

2021年度入試について、出願をするときには(1)〜(3)のいずれかの提出が必要になります。
(1) 民間の英語試験で、一定以上の成績を取ったという証明書
(2) 英語の実力が一定以上であるという高校の内申書または証明書
(3) (1)(2)が提出できない理由を書いた書類
いずれを選んだ場合でも、成績等を合否判定に用いることは無く出願要件とだけする。



これを、東京大学の教授が発信している情報などを参考に、内容を読み取ると

英語の総合的な勉強をすることは大切だけれど、民間試験を無理して受ける必要はありません。東京大学を受験するという生徒であれば、学校の内申点が低いということもないだろうから、普通に高校生活を過ごしていれば受験資格はあります。また、大学を再受験する人は、高校に内申書を書いてもらえないでしょうから、金銭か時間の問題で民間試験を受験できませんと提出すればそれで構いません。

こうした選択肢を用意することで、民間試験を受けることを勧めるという文科省の方針にも反対せず、今後は高校の内申書を活用するという方針にも適しているのだから、これに対して文句を言うのはおかしいです。

とりあえず2021年度のみとしているのは、そうしている方が反発が少ないのと、初年度に混乱が起こることは必至なので、次年度以降も同様にはなるだろうが着地点をここにしておこう。

というようなことだと思います。


文科省の言い分を聞きつつ、民間試験を受験しなくても良い方法を考えた非常に上手いやり方だと思います。

東京大学がこうしているからといって、他の大学が右にならえになる必要は無いと思いますが、対応を苦慮している大学にとっては参考になるやり方だと思います。

トラブルに巻き込まれないために、他の国公立大学も初年度はこうしたやり方をするところが出てくるのではないでしょうか。


9月27日 不公平な定期考査

来週から定期考査が始まる学校が多いのですが、複数の学校で気になることがあります。

というのは、学校で授業をしている内容を聞いた後、定期考査の範囲を確認すると、残りの日数から逆算して明らかに範囲まで授業が終わらないだろうというケースが見受けられます。

考査の範囲が発表されてから急に授業のスピードを上げて、教科書を読むだけで終わらせているようなこともあるようです。それで名目上授業が終わったとしても、本当に生徒が理解をして問題を解けるようになるでしょうか。

おそらく、他のクラスの方が授業が進んでいて、そのクラスに試験範囲を合わせたのだと思いますが、それはものすごく不公平でしょう。

そもそも、数学というのは習って少し練習したからといって、すぐに出来るようになるわけではありません。一通り学習をした上で、基礎的な内容を反復して定着をさせて、理解を深めながら演習をすることで、自分で考えて解けるようになるものです。

試験の前日まで授業を進められてしまうと、意味は分からないけれどとりあえず解き方だけでも覚えて何とかしよう、となってしまう生徒がいても不思議ではありません。

生徒のことを考えれば、少なくとも試験の一週間前までに学んだところで試験範囲を区切るべきだと思います。授業が遅いクラスがあるのならば、そのクラスに合わせる必要があるでしょう。また、大きな進度の差が発生しないように、随時、進捗状況を確認するべきです。


昨日の東京大学の発表にも書いてありましたが、今後の大学入試改革では学校の成績や内申を重視するように方針が変わります。

個人的に、このような方針には反対です。

それは、学校毎に別の観点で評価されたものを同一に評価することは難しいですし、同じ学校であっても成績をつけるための根拠となる定期考査が不公平な試験になっていることがあるためです。

塾を運営している私が言うのは何ですが、公教育は公平に行わなければなりません。

公教育の足りない部分や、手の行き届かない所を塾などで補填するのは良いのですが、学校の試験で点数を取るために塾に通うことが前提となるような運営を学校が行ってはいけないと思います。


9月29日 センター試験の演習

先日、高校3年生の理系の生徒から
「数学のマークタイプの模試の点数が安定しないので、記述の練習よりもマークの練習を優先した方が良いですか?」
という質問をされました。

これは決まった答えがある質問ではなく、センター試験の演習をいつ頃から本格的に行うのかは生徒の状況によって異なります。

というのは、センター試験の数学で安定して高得点を取ることを目指すのであれば、マークタイプの練習ばかりしていてはダメで、記述の練習をすることが必要だからです。

近年のセンター試験では、公式を覚えて運用出来るといったレベルでは得点が6〜7割程度で頭打ちになるように作られています。

最近は、定義などの正確な理解も問われますし、1から自分の頭で考えて解かないといけないような問題も出題されている上に、スピードも要求されるので、8割以上を安定して取ろうとすると、かなり実力が高くないと難しいです。

数学に関しては、記述の練習をして実力を付けた上で、12月の上旬からマークの出題に慣れるために練習をしていくのが理想だと思います。

ただ、これは8割以上を安定して取ることを目指したときの理想であって、そこまで数学が得意ではない生徒は、早めにマークタイプの練習に取り掛かって復習しながら慣れることも必要です。


9月30日 当塾の考え方

当塾では、学校の進度を考慮はしますが、学校に合わせた授業を行うことはしません。

というのは、学校に完全に合わせてしまうと、大学受験に対応した学力が養成できないことがあるからです。

先日も書きましたが、学校によっては試験範囲ありきで授業を進めることがあり、生徒が分かっていなくても、教科書を進めるのを優先することがあります。

また、受験では頻出の内容を取り扱っていなかったり、逆に受験にはほとんど出ないところに時間を使っていたりすることもあります。

もちろん、受験のためだけに勉強をするわけではありませんから、受験に出なくても理解を深めるために学ばなければならないことはあります。


当塾では、基礎の反復と、論理的な理解を重視した指導を心がけています。いずれも一人では疎かになりそうなことですが、本物の実力をつけるためにはこの点に時間をかけるしかないと考えています。

時期的に、高校1年生の中には、最近数学が分からなくなってきたと感じる人もいるかもしれません。復旧をするのであれば、早いに越したことは無いので、お早めに連絡ください。

現在の進度は以下になります。学校とずれている方は、個別で対応をすることも出来ますのでご相談ください。


平成30年9月30日現在の進度状況

1年生   数学T・・・「三角比」修了
      数学A・・・「図形の性質」修了
2年生   数学U・・・「微分法」修了
      数学B・・・「数列」のΣの導入まで修了
3年生B  「演習問題」・・・44問まで解説済
3年生V  「演習問題」・・・64問まで解説済



松山数学塾
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