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倍率について

進路指導の補足です。

入試の倍率について聞かれることがあるので、まとめておこうと思います。

興味のある方のみ、お読みください。



大学に合格するために受験で最も大切なことは、前項までに述べた「合格するために必要な点数を2次試験で取ることが出来るのか?」です。

それを念頭に置いた上で、倍率について述べていきます。


倍率によって合格難易度の影響を受ける大学・学部と影響を受けない大学・学部があります。

最も影響を受けやすいのは新設の大学や学部です。

国公立大学の前期試験の倍率は平均すれば3倍程度なのですが、新設の大学や学部では1.5倍程度であったり、逆に10倍を超えたりすることがあります。

流石にこれだけ上下があると合格難易度が変わってきます。

新設の大学や学部は過去のデータがありませんから、どれくらいの点数を取れば合格するのか不明なため、このような事態がおこります。

補足として、上記の理由から出願をためらう生徒が多いので、例えば新設の公立大学は1年目の倍率が低く受かりやすくなり、それを見て2年目は出願が増えて倍率が上がり受かりにくくなることがあります。

ただ、逆の場合もあり、1年目に生徒が集まり過ぎて倍率が高くなり、それを見て2年目に倍率が下がるということも起こります。



次に影響を受けやすいのが、元々の合格難易度がそれほど高くない地方国公立大学で、センター試験の配点が高い学部や、2次試験の内容が小論文(面接)のみという学部です。

そのような大学・学部は2次試験での逆転が起こりにくいため、前年度のデータと比較して合格する可能性が低い生徒はあまり出願をしない傾向にあります。

それが、年によっては予想外に多く集まったり、全然集まらなかったりすることがあります。

点数が近い生徒が集まりやすいので、特に試験内容が面接だけの場合は合格難易度が倍率の影響を受けやすくなります。


他にも、影響を受けやすい大学・学部はあるのですが、これくらいにしておきます。



逆に、倍率による影響を受けにくいのは合格難易度の高い大学・学部で、具体的には「旧帝国大学」や「国公立大学の医学部医学科」などです。

これらの大学は倍率が高くなりすぎた場合1次選抜(足切り)を行うところが多く、2次試験を受けられないこともあります。

では、1次選抜がある倍率が高い年と1次選抜がない倍率が低い年で合格の難易度が変わるかというとほとんど変わりません。

というのは、1次選抜を通らなかったり、ギリギリ通るというような学力層の生徒は元々合格する可能性が低いからです。

難関大学の入試は上位層の戦いとなるので、合格する可能性の低い人が増えて倍率が上がっても合格する力を持っている人にとっては関係がありません。

これを裏付けるデータとして以下のようなものがあります。



愛媛大学医学部医学科の2015〜2019年までのデータです。

志願倍率というのは出願をした人数で、実質倍率というのは試験を受けに来た人数です。

2015,2016年は志願倍率が高かったので1次選抜(足切り)がありました。それ以外の年はありません。

過去5年間で実質倍率が最も高かったのは2015年ですが、合格者の平均点と最低点は最も低くなっています。

実質倍率が最も低かったのは2018年の3.3倍ですが、やや合格者最低点は低いものの他の年と比べて大幅に易化しているとまでは言えないと思います。

試験内容を確認していないので断言はできませんが、2015年や2018年は2次試験が難しかったために合格者の点数が下がっているのかもしれません。

このデータで最も注目する部分は、合格者のセンター試験の平均点と最低点です。他の数値がぶれる中でも合格者の平均点は85%程度で推移しています。

つまりセンター試験で85%以上取れている生徒は倍率の影響はあまり受けず、2次試験で点数を取りさえすれば合格するということです。

また、合格最低点は80%前後で推移していることから、得点率が80%を切って出願している受験者はほぼノーチャンスということも言えます。


このようにデータを見ていけば、大学入試は倍率が高い低いだけで難易度を判断するべきものでは無いということが分かってきます。

ただし、これらは統計上のことなので過信をしすぎてもいけません。


進路指導をする上で大切なことは、表面的なデータの数値だけを見るのではなく、なぜそのような数値になっているのか理由を理解しておくことだと考えています。

その上で、イレギュラーな事態が起こることも想定して、大学受験の計画を立てるアドバイスをしています。


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