進路指導の実態
私は公立高校で10年間の勤務経験がありますが、振り返れば学校の教員の時は進路指導において分かっていないことが多くありました。
学校では高校3年生の担任をするのは基本的に3年に1回で、状況によってはそれよりも少なくなります。
公立高校の場合、国公立大学の受験校選択が必要な生徒に関わる教員はそれほど多くありませんし、その経験が常にいかされるわけでもありません。
学校が変われば生徒の学力も変わるので、専門学校や短大への進学指導や就職の指導が求められたりもします。
学校の教員は目の前の生徒のために進路指導の勉強をして対応しますが、それは環境が変われば以前の知識があまり役に立たないということでもあります。
その点を補うために、学校毎に進路指導の会議が開かれますが、会議とは言っても特定の教員の考えを述べる場になることが多いです。
そして、そこで決まったことに従う教員もいれば、従わない教員もいます。
結局、学校の教員の進路指導というのは個人の資質に任されている部分が大きく、何を根拠に指導をするのかは統一されていません。
上記の理由から、学校の教員は必ずしも大学選択において適切な指導が出来るわけではありません。
もちろん、進路指導の勉強をした上で適切な指導をしておられる先生も多くいらっしゃいます。
その一方、生徒に無関心であったり、絶対に受からないような大学を受けさせようとしたり、実績のために進学する気がない大学を受けさせようとする先生も存在しています。
私も塾を始めた頃は分からないことが多かったので情報を集めて勉強をしてきました。そして、ようやく指針が固まってきたので発信をするに至っています。
私は、進路指導は医療行為と似ている部分があると考えています。
昔は主治医の判断が絶対で、患者は治療法に口をはさむことが出来ませんでした。
それが、昨今ではインフォームドコンセント(説明と同意)が主となり、患者の意志が尊重される時代になっています。
患者と生徒という立場は異なるかもしれませんが、現代では根拠とデータに基づき、本人が納得した上で物事を決めていくことが重要だと思います。
学校の先生の話だけで判断をせず、病院の診察と同じでセカンドオピニオンのように塾の進路指導を利用していただきたいと考えています。